なぎこの書斎

書籍やゲーム、漫画の紹介と考察を中心に書いています。[たまに日用品や食べ物なども紹介しています。

甘くて可愛い恋愛小説10選

甘くて可愛い恋愛小説10選

 

皆さん、恋愛小説はお好きでしょうか?

私は基本ホラーとファンタジー小説が好きなんですが、一時期的に恋愛小説にハマったときがありました。

とにかく恋愛小説を読み漁り読書メーターに記録してたのですが、ブログ開設にあたり読書メーターの自分の感想レビューをブログに転載、10選という形でまとめたいと思います。

植物図鑑・有川浩

 

 

読む進める度に極まる糖度。甘い。読んだ後しばらく胸焼けがするほど甘い。

ほんとに胸焼けした。

お菓子と山菜を食べた気分になるのでダイエット中に読むと「甘いのはもう結構」ってなって間食を控えるようになる。

イツキにキュンキュン。イツキにキュンキュンしているさやかにキュンキュン。なんだこの二人の甘さ。最高。好き。

読むだけで幸せな気分になる可愛い王道恋愛小説。山菜美味しそう。私も食べたい。ノビルとイタドリ食べたい。食べたい食べたい!!ああああもう甘いっ!!大好き!!!

当時の暴走具合を見て頂ければわかるように、すごく甘いです。読む砂糖菓子こと植物図鑑読む砂糖菓子パティシエこと有川浩

花守の竜の叙情詩・淡路 帆希

 

 

美しいお話だった。タイトルも表紙も、ストーリーも綺麗で素敵だった。繊細な心理描写や一つ一つの印象的なシーンが澄んでいる。

序盤は独善的な二人だが、エレンの登場から二人は変わり、お互いの良さを認識していく。ただ二人は会話が圧倒的に足りていない。

特にテオは心許した人が少ないためなのか、何も言わず銀竜の谷に身を投げることといい、ロザリーといい、独りよがりに自己完結しているとこがあるのが少々気になる。

「強く咲いてくれ、雛罌粟«アマポーラ»」。アマポーラは中盤から高慢な姫君から清廉な母へと成長していて、目を惹かれた。

 

「強く咲いてくれ、雛罌粟」

この言葉が本当に大好きで、読むたびに大好きになります。

↑は合同本ですが ↓は単品です。

 

 

隠れ星は心を繋いで ~婚約を解消した後の、美味しいご飯と恋のお話~・花散ここ

 

 

面白かった!お食事描写がめちゃくちゃ美味しそう。

心理描写も情景描写も人物描写も繊細で丁寧で没入感と満足度があります。

等身大で誠実なアリシアとノアの恋模様は、寒いときに飲むココアみたいにホッとしますね(*´ω`*)

ウーゾの貝の酒蒸し、貝もお酒もそんなに好きじゃないのに食べてみたくなる。

シュークリーム食べたい!!このお話をなろうで読んでシュークリームにハマったんですよね〜。

 

圧倒的飯テロ恋愛小説です。なろう発の異世界恋愛で婚約破棄ものですがファンタジー要素はありません。

等身大で、丁寧に描写された心と食事風景、人と人の距離感がまるで寒い日に飲む温かなココアや甘いミルクみたいに読む人を温めてくれます。

 

夜は短し歩けよ乙女森見登美彦

 

独特な言い回しと、不思議な情景描写が魅力的。好き嫌いは分かれそうで世界観に浸れなければ置いてきぼりをくらう。

途中まではわけが分からず読んでるこっちが翻弄され、6月から読み初めてから途切れ途切れに読み進めついにクリスマスまでかかってしまった。

事務局長が出てきた頃にはもう慣れてさっさか読めたけど。(それまでだいぶ長い間放置してました)馴染めるか、馴染めないかで評価が別れるなー。もう一度初めから読んで、話の感想はその際に。

 

再読して気づいた、黒髪の乙女目線の加齢臭の描写がなぜか印象的。

「彼が身を寄せてくる際に鋭く鼻をつくのは殿方用香水の香りでしょうが、ありのままの東堂さんが発散する野性的香りもまたその後から猛々しう溢れ出してきて、香水の鮮烈な香りと混じり合って悪夢的な奥深さを醸し出します。」

こんな上品な加齢臭の表現をはじめて見ました。

甘くて可愛い恋愛小説というには語弊がありそうですが、ファンタジーよりは恋愛小説だと私は思っています。

だって、黒髪の乙女がかわいいのだから。

 

ロマンス小説の七日間 ・三浦 しをん

軽いノリの文体の、ハチャメチャな恋愛小説。主人公のあかりの思考が面白い。

普段…というか、周囲から見たあかりは、大人しく真面目で地味なタイプなのかな。描写のところどころでそんな雰囲気がある。

そんなこんなで煮詰まって、気持ちを翻訳の仕事にぶつける、と。神名は天然ゆるふわで、あかりのいいガス抜きなのかな。

隣に、ずっと一緒にいるのが当たり前で、それが物理的にも心情的にも離れてしまうというのが、辛かったんだろうか。そして仕事にぶつけることで煮詰まった感情を整理。そして現実が待っている。

とても現実的な恋愛小説なのに、どこか甘さの残る可愛い恋愛小説です。

装丁がとても可愛いのもgood!

センセイの鞄・川上 弘美

ゆったりと上品に流れる情愛あふれる純文学だった。

シンプルで飄々として、あまり印象に残らないような淡白さで、それなのに「またいつか読みたい」と思えるような小説。

センセイの「いい子ですね」と繰り返すのに、なぜだか切なくなった。

センセイはなぜ鞄を残したのかな。

ツキコさんと一緒のときに、いつも持っていたから?センセイにとって、ツキコさんとともに過ごした鞄は宝物だったのだろうか。

例えば恋人と乗った車や、恋人とともに聞いた曲に愛着を寄せるように、センセイは鞄に愛着を持ったのだろうか?

ともに過ごすのが、愛だった。

この小説から味わえる甘さは、砂糖菓子やジュース、ココアの甘さではありません。

お母さんが作ってくれた甘さ控えめのパンケーキみたいな、紅茶にいれた一粒の角砂糖のような、ふと彼はなにをしているだろうかと無事を想うような甘さです。

薬指の標本・小川 洋子

小川さんは透明感のある文章で閉じられ囲われた世界観を描く名手だと個人的に思う。

どこか嗜虐的で支配的にさえ見える危険な色香を漂わせる弟子丸氏と「わたし」の静謐な関係は性的であり知的であり品がある。

直接的な性描写は無いのに目眩がするほど官能的で、透徹とした淫らさが読み手の心を揺さぶる。

ふわふわしゅわしゅわと非現実的な設定なのにファンタジーでは決して無い独特の行間と小物使い、心理描写、行動描写がある純文学。

まさに、クリアな硝子瓶の向こうにある標本を眺めているようだった。

甘いというには上品で、可愛いというには淫らな世界観を描く小川洋子さん。

ふわしゅわ。まるでソーダ水みたいなスッキリした甘さを読んで味わってください。

 

県庁おもてなし課 ・有川 浩

 

家族愛、友愛、郷土愛、恋愛…たくさんの愛情で下拵えして高知の魅力を大切に大切に描写したお仕事小説。

意識の変革やマーケティングの基礎が丁寧にかかれて下手な自己啓発本やお仕事本よりよほど分かりやすく身に染みる。吉門さんと掛水さんカッコ良すぎる。女の子も相変わらず有川浩らしい素敵な健気で一生懸命で好感もてた。

お仕事小説であり、恋愛小説。有川浩の小説は全部甘いので「甘くて可愛い恋愛小説」と縛りを入れると有川浩しか残らないので記事書いてるこちらは悩みに悩みます。

陽だまりの彼女 ・越谷 オサム

かつていじめられっ子だった真緒と、彼女を愛した主人公。

ベッタ甘で可愛らしい恋愛小説。同時に猫好きにはたまらんファンタジー。(解説と被っている)。

運命の相手は、なにも人間だけでは無い。もしかしたら、同性かもしれないし、動物かもしれない。

真緒がとびっきりキュートできゅんきゅん。真緒を想う主人公にきゅん。

表紙も好き。最初は微妙かな?と思った表紙だけど、読み終わったあとはこれじゃないと駄目。真緒の猫っぽさがよく出ている。

ただ、真緒を失ったあとの主人公が社会的に信頼を無くしていく、多くを喪失する様子が可哀想だった。

最後が可哀想で、でもやっぱり可愛い恋愛小説です。

この二人は何度でもきっと出逢うのだろう。そう思える愛の、運命の相手です。

ミミズクと夜の王 ・紅玉 いづき

とても美しい物語だった。誰もが優しくて、幸せなハッピーエンド。ミミズクの過去は壮絶で哀しいけど、得たものはどこまでも透き通るような優しさで満ちていた。愛されて、愛されて、大事にされて、幸せになった。

最後もまたもや恋愛小説というには語弊ありそうな小説を選んでしまいましたが、どうかご了承ください。

ミミズクの、夜の王への想いと、夜の王の、ミミズクへの想いは、誰にも邪魔できない愛なのですから。