宝石商のメイド
メイドが宝石を売る不思議な店がある。ひっそりと街の片隅にある宝石店「ローシュタイン」は、まるで博物館のよう。
ジュエリーとなる前のルースに鉱物が並ぶそこに、噂のメイドが愛想はないけれど礼儀正しく、誠実で真摯に客と向き合う。
宝石の知識が豊富で鑑定眼も鋭く客の心に寄り添うメイド「エリヤ」。
彼女に悩みをこぼし前を向く客たちとの温かな交流と、精緻で輝くような絵柄、ストーリーが魅力的です。
噂の真偽を確かめにきた常連となる愛妻家の老紳士、婚約が決まった大貴族の令嬢「ラヴェンデル」、美術男子学生、雨の日に迷い込んできた劇場の女帝と呼ばれる大女優、エリヤの初めてのお客様であるご婦人。
特にラヴェンデル嬢との回は名作です。
社交界を華麗に歩んだ大富豪の夫婦、一巻で出てきたラヴェンデル嬢の母君、王室を離脱して市井の女性を愛した第一王子。
一巻とは違いかすかな波乱も含み、けれどエリヤは持ち前の誠実さで相手の信頼を勝ち得ていく。
お祭りの露店で繰り広げられる会話や、孤児院の子供たちとの科学の実験を通した交流などお店の外でも大活躍する。
お客様との交流中心の一巻、宝石店の外の世界も描かれた二巻と続き、波乱に富んだ三巻。
店主アルフレッドの古くからの友人である新聞記者や名工と名高いルースの研磨をする職人 、世界が広がってますますエリヤが活躍する。